Gonosechō, Nishiwaki-shi, Hyōgo-ken, Japon.
1966 : Kōichirō Nezu : modernisme.
2023 : destruction.
兵庫県西脇市郷瀬町
1966年:根津耕一郎:モダニズム
2023年:解体
兵庫県西脇市にある、音楽ホールも備えた総合文化施設。根津耕一郎による設計で1966年に竣工しました。コンクリートのダイナミックでブルータルな外観が大変かっこいい建築だったのですが、2023年に惜しくも解体されてしまいました。
何よりもまず目を引くのがこの異様な迫力を持つ外壁。力強く挑戦的な建築を地方都市にも築き得た、ゆたかな時代が日本にもかつてあったのだなと実感させられます。
無骨でありつつも、壁の一面は独特の紋様を描いたタイルで装飾されています。このタイルは、設計者の根津氏が市民会館に地元の産物を取り入れようと、丹波の窯元に足を運んで選定したものなのだとか。
渋い色のタイルがコンクリートの荒々しい外観にいろどりを添えていて、よくマッチしています。
そしてこの屋外階段もかっこいい。
タイルと屋外階段の組み合わせは建物裏手にも見られます。
音楽ホール以外の箇所は、むしろ軒の水平性が強調された外観になっているように思われます。
さきほどのかっこいい屋外階段から直接、建物2階に至れる動線もまた巧み。旗を掲揚する柱や電灯、桁や梁の見せ方など様々な細部も凝っていて見どころがたくさん。
中庭の、池に囲われてたたずむコンクリートの造形作品も味わい深い。
建物入り口部分はコンクリートとガラスの組み合わせ。壁面がほぼガラス張りであるので開放感もあります。この箇所は市民会館と同じ敷地に建つ市役所のちょうど真向かいで、ひとの往来も多かっただろうから圧迫感軽減の意図もあったのでしょう。
こちらの桁と梁の力強い構造の見せ方もかっこいい。
床のタイル模様もまた独特。上述の中庭のコンクリートの造形作品といい、要所要所で装飾的あそびごころがちりばめられていてほんとうに名作建築だと思います。
ガラス越しに内部を撮影。階段の木の手すりの形状が凝ってます。このようなすばらしい建築遺産が取り壊されてしまったことに対し惜念と虚無感ばかりが募るのですが、当の設計者、根津氏の以下の達観した証言をあとで読んだら、わたくしのような部外者がそんなことを無責任に思うのもお門違いの薄っぺらい感傷でしかない、と思い知らされた気がしました。曰く、「時代が変わったんです。私は壊すことに反対はしません。本当に、よく使ってもらったと思いますよ」。何という人格者だろう。設計者のこのコメントは、下記リンクの一番最初に挙げた記事にてご覧いただけます。
Références
- 「『地域の文化支え半世紀』西脇市民会館、解体へ」、『神戸新聞NEXT』、2022年10月14日の記事
- 「西脇市民会館の再生を考える会」
- 「西脇市庁舎/西脇市民会館」、『根津耕一郎作品集 1957-1973』、建築評論社、1973年、71-76頁
Photos prises en mars 2022.
2022年3月撮影