ピーペル邸 : Hôtel Pieper

31 oct. 2023

Hôtel Pieper ピーペル邸


Avenue Franklin Roosevelt 90, Bruxelles Extension (Sud).
1930-1932 : Georges Dedoyard : Art déco + Sécession viennoise.

フランクラン・ローズヴェルト大通り90番地、ブリュッセル拡張圏(南部)
1930-1932年:ジョルジュ・ドゥドワイヤール:アール・デコ様式+ウィーン分離派様式

Hôtel Pieper ピーペル邸

ブリュッセル市街南部の大通り沿いに建つ、アール・デコ様式の邸宅。設計者のジョルジュ・ドゥドワイヤールは、1930年代から60年代にかけてリエージュで数多くの建築や橋を手がけて活躍した建築家です。代表作は同地のソヴニエール・水泳スポーツ施設で、こちらはモダニズム(船舶様式)の建築となっています。

下記参照リンクではこの邸宅の所有者であった「ピーペル」さんが誰であるか明記されていなかったのですが、ざっと調べてみて想像するに、ドゥドワイヤールにゆかりのあるリエージュ出身の技術者で、ブリュッセルで没したアンリ・ピーペル(1867-1952)なのではないでしょうか。アンリ・ピーペルは電気を動力源とした色々な乗り物の発案者で、電動自動車や電動自転車のはしりのような乗り物を考案した人物です。

全体的に硬質な幾何学的構成や入口上部の浅浮彫、垂直性を強調する陶製タイルなどにアール・デコ様式の精神がうかがわれます。

アール・デコの豪奢でありながらも素朴な、そして、どこか通俗的でありながらも同時に気品をまとわせた、この独特の雰囲気が好き。

きれいに手入れされた植栽は、竣工後数年経ってから整備されたものなようです。

外装は、1階と2階はユヴィル産の石灰岩の一種が用いられ、3階はテラゾが使用されているそうです。ユヴィル岩はフランス東部ナンシー近郊のユヴィルの名産品で、パリのオペラ・ガルニエやグラン・パレの外装にも使用されています。

Références

Photos prises en août 2017.
2017年8月撮影