3-1, Goryō-chō, Otsu-shi, Shiga-ken, Japon.
1967 : Takeo Satō : modernisme.
滋賀県大津市御陵町3-1
1967年:佐藤武夫:モダニズム
滋賀県大津市、琵琶湖と皇子山総合運動公園を東に望む位置に建つ市庁舎。
設計は、現在の佐藤総合計画の前身である佐藤武夫設計事務所の主宰者、佐藤武夫。同氏は1973年に死去しているので、1967年完成のこの建築は晩年の作といってよいでしょう。
大きな陸屋根を支える丸柱と、それらの間に通される梁の構造が前面にあらわれた、ダイナミックで威風堂々とした外観が猛烈にかっこいいです。コンクリートで構成される格子状の骨組みが和風建築も彷彿とさせて、まさに正統派和モダン(やや通俗的な言い方かもしれませんが)といった趣。
建物側面、南側からの外観もみごとに整っています。
庇裏の格子造り、微妙に突出したたくさんの水平材、壁面に直付けにせず少し距離を置いて配置された円柱など様々な意匠、工夫が施されています。
建物北側にある時計塔もみどころ。これは天智天皇の水時計の故事にあやかって、水時計をイメージして設計されたものだそうです。繊細でありながらも迫力があって、ぜひ実物を見ていただきたい構造物でした。
県庁所在地の自治体の庁舎というだけあって、堂々として風格のある玄関まわり。市民や来庁者に対して親しみやすさを押し出そうとしたり、極度に当たり障りのない建物になったりしがちなこんにちの庁舎建築ではあり得ないであろう、威厳のあるたたずまいです。そういう意味でこの大津市庁舎は、失われてしまったらもう二度と取り戻せない空気をまとった空間として非常に重要な建築遺産であるようにも思うのですが、耐震構造等の問題により残念ながら取り壊しがもう決定済みのようです。
お寺の登り高欄を意識したであろう、うつくしいコンクリート製の階段手すり。
縁が周りに廻らされているところや、その高欄もやはり日本の伝統的な寺院建築を想起させます。
柱梁の外殻に包まれるかたちで、役所の各機能に応じて分節された棟が3つ配置されるという建築構成になっています。
見上げると確かに、ひとつの大きな屋根の下にそれぞれの分棟が収まっている様子がわかります。それにしても庁舎建築とは思えない迫力のある眺め。
基壇上部はピロティによる小広場になっていました。
小広場中央には基壇下部に降りる階段もあります。
階段を降りた先は駐輪場になっていました。ところで、階段部分の赤紫のタイル(上の写真の左部分)が幽玄微妙でたいへんうつくしい色合いだったのですが、どういうわけか写真に撮るのを忘れていました。
建物内部では階段部分のみ撮影。床部分の紫色も渋い。全体的に、赤や紫系統の色が建物内外にうまく配されているように思いました。
Références
- 「佐藤武夫ギャラリー 作品集/大津市庁舎」、佐藤総合計画のサイト
- 「no. 193/大津市庁舎」、DOCOMOMO Japanのサイト
- 「日本建築めぐり/大津市庁舎本館」、『建築パース.com』のサイト
Autre travail de Takeo Satō : 佐藤武夫の他の建築
Photos prises en mars 2024.
2024年3月撮影