80, avenue Foch, 54000, Nancy, France.
1924 : Jacques Ogé et Henri Gilbert : Art déco.
フォッシュ通り80番地、ナンシー、フランス
1924年:ジャック・オジェ、アンリ・ジルベール:アール・デコ
ナンシー駅の西側の大通り、フォッシュ通り沿いの住宅街にある建物。2軒並んだアール・デコ様式の建物のうち向かって右側、ベージュ色のほうがティリオンの家です。この家の住み手であったルイ・ティリオンは作曲家でありナンシー音学院の教員でもありました。ティリオンについて調べていたら偶然、彼の所有していた美術工芸品の競売カタログを発見したのですが、絵画はP・ボナールやP・ピカソ、H・マティス、家具はマジョレル兄弟やE・ガレ、A・アールト、工芸品はP・シャローやJ・プルーヴェなどなど錚々たる面々の作品ばかりで、びっくりしてカタログをつい読みふけってしまいました。カタログがリンク切れにならないことを祈るばかり。この競売はちょうど去年の2024年、遺族たちの意向で行われたもののようです。正直この家をまるごとティリオン記念館とかにして、彼の楽譜手稿などとともに一般公開すればよかったのに、などと部外者としては無責任に思ってしまいます。それだけの価値のあるものがこの建物のなかに眠っていたとはつゆしらず、のんきに写真を撮っていました。
2階部分のすみっこに、設計者名と竣工年が、うつくしいモザイクで示されています。設計者はジャック・オジェとアンリ・ジルベールで、1924年造。
お隣80-2番地の灰色の住宅も、同じ設計者の手によるものなのだろうか。下記参照リンクで2番目に挙げた、驚異的な情報量のブログ(?)によればこの家もオジェとジルベールの設計であると記載されているのですが、出典不詳のため確証は持てず。
2階と3階の窓がそれぞれアーチ型と四角形で構成されている点や、上層部に水平方向と垂直方向に連なる窓が一組ずつあること、楕円形の庇が付いていることなど、観察すると2つの建物のデザイン・コードが大まかに統一されていることが分かります。
とはいえ、玄関周りの意匠はかなり異なっています。番地を示す「80」という数字は共通なのですが。
アール・デコ様式の建物が仲良く2軒並んで建っているような格好となっています。ナンシーといえばナンシー派のアール・ヌーヴォー建築が有名であるかと思われるのですが、じつはそれに負けないくらいアール・デコの建築も市街のあちこちに点在しています。余談なのですがこの日は陽射しがものすごく強烈で、コントラストが異様に濃い写真ばかりになってしまいました。
Références
- « 80 avenue Foch (Nancy) », le site Archi-Wiki.
- « L'Art déco et la transition vers l'architecture "moderne" », le site jcb1 [blog particulier].
- Catalogue de ventes aux enchères, « Succession de Monsieur Louis Thirion / Partie I »[fichier PDF], Alexandre Landre ~ Nancy, juin 2024.
Photos prises en septembre 2023.
2023年9月撮影