ドラノワ中尉の家 : Maison du lieutenant Jean Delannoy

17 mai 2020

Maison du lieutenant Jean Delannoy ドラノワ中尉の家


Avenue de Tervueren 118 - 120, 1150 Bruxelles (Woluwe-Saint-Pierre).
1906 : Paul Hamesse : Art Nouveau (géométrique).
1993 (démolition de la façade).
2007 [ou 2008] (reconstruction).

テルヴュレン通り118-120番地、ブリュッセル(ウォリュウェ=サン=ピエール地区)
1906年:ポール・アメッス:アール・ヌーヴォー(幾何学様式)
1993年(ファサード取り壊し)
2007[または2008]年(ファサード再建)

Maison du lieutenant Jean Delannoy ドラノワ中尉の家

テルヴュレン通り、地下鉄モンゴメリ駅付近に建つ邸宅。周辺は割とにぎやかな界隈です。

設計は、ベルギーのアール・ヌーヴォー第2世代にあたるポール・アメッス。ポール・アメッスはアール・ヌーヴォー幾何学様式の祖といえるポール・アンカールの弟子で、図形的で純化された意匠美をアンカールからしっかりと受け継いでいるように思います。

事後的に調べたときに初めて知ったのですが、この建物は1993年に一度、ファサードが解体されたそうです。1992年にこの敷地に商業ビルを建てようとする機運が高まった際、地方自治体は建築遺産保護の観点から、アメッスのこの住宅建築を文化財に指定。しかしディヴェロッパーは強引にまず隣の建物の解体を始め、解体作業の影響でこの建物のファサードも脆弱化してしまい、結局この建物も安全性の観点から取り壊しを余儀なくされたとのこと。この背景には当時のウォリュウェ=サン=ピエールの政争のことも絡み合っていたようで、どろどろした事案だった模様です。安全性云々の議論でファサードが解体された際も、その懸念自体がでっちあげであるという意見もあったとか…。いずれにせよ、2000年代に無事ファサードは忠実に復元されました。よかった。

玄関周り。下記レフェランスとして2番目に挙げたサイトにて、取り壊される前のファサード写真が見られるのですが再建後の方が素敵な色合いになっているように感じられます。

ポール・アメッスの書名もちゃんと復元。すばらしい仕事です。

Références

Autre travail de Paul Hamesse : ポール・アメッスの他の建築

Photos prises en août 2017.
2017年8月撮影