32, rue Eugène Flachat et 52, boulevard Berthier, 75017, Paris.
1892 : Paul Sédille : éclectisme (style néo-Renaissance).
* Céramiste : Jules Leobniz.
ウジェーヌ・フラシャ街32番地、ベルティエ大通り52番地、パリ17区
1892年:ポール・セディーユ:折衷様式(ネオルネサンス様式)
*ファサードのセラミック装飾:ジュール・ルプニッツ
パリでもっともうつくしいファサードのひとつ、と、個人的には思っています。この建物を前にして思わず、「ほおー」と感嘆のため息がでました。パリ17区の地下鉄3番線の沿線のあたりはこのような瀟洒な住宅建築がまだ数多く残っているので、建築見学好きにはとてもおすすめの界隈です。基本的に閑静な住宅街なので治安も比較的よいですし。
この住宅の設計者はポール・セディーユで、この鮮やかな色彩の釉薬(うわぐすり)塗りのれんがは、陶工ジュール・ルプニッツによる仕事。この2人は、パリの百貨店プランタンの改築事業も手掛けています。現在見られる、プランタンの彩色豊かなモザイク装飾は両者の功績。
この住宅の設計依頼主はフランソワ=ギョーム・デュマという美術批評家。デュマは1889年のパリ万博美術部門のカタログ編者であったくらいなので、当時の美術批評界の第一人者であったのだろうと思われます。なので、このような凝った邸宅も注文できたのでしょう。
下記リンク2番目に挙げた記事でも指摘されている通り、ボサージュや付け柱、連続する半円アーチ、浅浮彫の石のプレートなど、イタリア・ルネサンスの影響が顕著に見られます。レモンが描かれた帯状の装飾は陶製で、これもジュール・ルプニッツの作です。
小振りながらも、凝った仕事の見られる玄関。
この住宅はウジェーヌ・フラシャ街とベルティエ大通りの両方に面しており、ファサードも2つあります。こちらはベルティエ大通りから見た図。こちらのファサードもやはり見事です。でも最上階は事後的な増築な気もするのですが、どうなんだろう。
ベルティエ大通り側のファサードには大きな出窓が付けられています。
玄関はこちら側には設けられていません。その代わり窓がたくさん。窓回りの装飾も、れんがや石造りですてき。
こちらのファサードの見どころはなんといってもこの出窓。土台部分の細かな箇所にまで、精細なモザイク装飾が施されています。どちらのファサードも必見の名作住宅建築です。
Références
- « Protections patrimoniales – 17e arrondissement », [liste des Protections patrimoniales] dans le site Plan Local d’Urbanisme de la Mairie de Paris, p. 372/432.
- Caroline Hauer, « Paris : 32 rue Eugène Flachat, la Maison Dumas, un hôtel particulier polychrome signé Paul Sédille, céramique turquoise, briques rouges et citrons de Sorrente – XVIIème », le site Paris la douce.
- Michel Poisson, Façades parisiennes, Parigramme, 2006, p. 99.
Photos prises en mars 2016 et en mars 2018.
2016年3月、2018年3月撮影