ピピア庵 : Pipia‐An (Salle de thé)

24 nov. 2023

Pipia‐An (Salle de thé) ピピア庵


2-5-1, Mefu, Takarazuka-shi, Hyōgo-ken, Japon.
1999 : Kan Izue Architect & Associates.

兵庫県宝塚市売布2-5-1
1999年:出江建築事務所(出江寛)

Pipia‐An ピピア庵

駅前のビルの屋上、というすごい立地にある茶室。そのビルの名前が「ピピアめふ」(「めふ」は「売布」と書く地名)というわけで、「ピピア庵」と命名されております。それにしても、建物の屋上とは思えぬ光景。

ちゃんと躙口(にじりぐち)もあります。なぜここに茶室があるのかと思われるかもしれませんが、このビルは公益複合施設で、各種の市民セミナーや文化教室など催されているため、茶道やお茶会などの会場として造られたのでしょう。

立地以上に驚くべきは、ガラスやコールテン鋼、ガルバリウムなど、およそ伝統的な茶室建築には用いられなさそうな素材でこの庵が造られていること。設計者、出江寛の大胆な発想に感心することしきりでした。

ご覧の通り、茶室裏側はほぼガラス張り。

露地門も見事に現代風に再解釈されています。

コールテン鋼の錆もいい味を出しています。まさか、茶の湯の「わびさび」に「錆」をかけたのでは、などと勘ぐってしまいます。いや、本当にかけていたりして。

躙口の開いている様子、閉じている様子。

小さな門を通って、入口へ。

入口付近の造作もやはりおもしろく、興味深いです。

外観だけでもすでに驚異的なのに、中の様子はさらにびっくりでした。まず、色とりどりのビー玉が敷き詰められた土間がお出迎え。

コンセントもあります。

入ってすぐの左手には水屋があります。ガラスを透過した仄明かりで、独特の雰囲気。

天井は金属のあみあみ。

内観のほぼ全景。茶室に詳しい方なら、きっと色々な興味深い発見があることでしょう。

壁面の一部は、細かくちぎった何かの紙片で覆われていました。入口のびっしりとしたビー玉といい、ちょっと狂気のようなものを感じます。

躙口から入ってくるまばゆい外光。

躙口から中を覗いてみたところ。やっぱり、ガラス越しのうっすらした光が印象的。ともかく驚きに満ちた建築見学体験でした。ピピアめふ5階の事務受付で庵の見学を申し出れば誰でも、庵が利用されていない限り見学させてもらえます(2023年現在)ので、建築・茶室好きの方々にぜひともおすすめしたいです。

Références

Photos prises en avril 2022.
2022年4月撮影