クレマン ロワサル街の建物 : Immeuble de la rue Clément Roassal

19 févr. 2025


10, rue Clément Roassal, 06000, Nice, France.
1906 (?) : Joseph Poisson (?) : éclectisme (Art nouveau).

クレマン・ロワサル街10番地、ニース、フランス
1906年(?):ジョゼフ・ポワソン(?):折衷様式(アール・ヌーヴォー)

国鉄ニース市駅北側のにぎやかな界隈に立つ建物。ニースの地方色を感じさせるファサードではありますが、大部分はアール・ヌーヴォー様式の特徴が認められる折衷様式の建物となっています。

建物の中央を縦につらぬく、石の付け柱とその装飾が目を惹きます。フランスの建築を調べるときによくお世話になっているサイト「PSS-archi」によれば、この建物の施主はマリ・ガンディなる人物で竣工年は1906年、そしてその翌年の1907年に建築家ジョゼフ・ポワソンにより増築されたとのこと。なのですが、同サイトがその典拠として挙げているニース市の建築許可証アーカイヴ(https://recherche.archives.nicecotedazur.org/archives/search)を当たってみると、たしかに1906年と1907年にガンディは建物建設・増築を発注してはいるのですが、そのデータに設計者名は特に記載されていませんでした。さらにそのデータに示されている住所表記も大まかなものでしかないので、この番地の住所にある建築がほんとうにポワソンによる設計であるのかわたくしには断定できませんでした。ガンディが他の場所に所有している建物の改築をポワソンに発注しているデータであれば、ニース市のアーカイヴにたしかに存在してはいるのですが、だからといってそのことがこの建物の設計者同定の決定的証拠にはならないでしょうし、そもそもジョゼフ・ポワソンという建築家について調べてみても出てくる実績が皆無に等しいので、やっぱりこの建築の完成年、設計者情報に関しては保留にしておきたい気がしています。それとも、ネット上のデータではなく、ニース市の図書館などにあるであろう実際の書類原本にはちゃんと設計者名や番地表記なども記載されているのかしら。あと蛇足ですが、この建物の設計者としてポワソンを挙げているサイトは他にもひとつあったのですが、そのサイトは記載内容や文言からして明らかにPSS-archiの記述を下敷きにしていると思われるものだったので参照サイトとしてはカウントしてません。

上層階には葡萄をモチーフにした彩色壁画もあって華やか。

扉上部の彫刻も葡萄をモチーフにしています。見事。玄関扉のしなるような鉄細工は典型的なアール・ヌーヴォー様式。

Référence

Photos prises en novembre 2018.
2018年11月撮影