TATÉ-MONO: クニット : Cnit

2, parvis de La Défense, 92800, Puteaux, France.
1956-1958 : Jean de Mailly, Robert Camelot et Bernard Zehrfuss.
* Ingénieur de la voûte : Nicolas Esquillan.
* Ingénieur de la façade : Jean Prouvé.
1978 : surélévation du sol.
1989 : réaménagement du bâtiment.
2004-2009 : rénovation : Crochon Brullmann + Associés (Jean-Luc Crochon + Cuno Brullmann).

ラ・デファンス広場2番地、ピュトー、フランス
1956-1958年：ジャン・ド・マイイ、ロベール・カムロ、ベルナール・ゼルフュス
＊シェル構造担当：ニコラ・エスキヤン
＊カーテンウォールのファサード担当：ジャン・プルーヴェ
1978年：周辺地盤の嵩上げ
1989年：改築
2004-2009年：改修：クロション・ブルルマン建築設計（ジャン＝リュック・クロション＋クノ・ブルルマン）

パリ近郊のデファンス地区にある壮大な複合施設。ホテルや商業施設、オフィス、会議場などが収められています。Cnitという名称は、「国立産業技術センター」« Centre National des Industries et Techniques » の略で、この建物がもともとは産業機器や工業機械などの展示会場として造られたことに由来します。

主要な設計者はJ・ド・マイイ、R・カムロ、B・ゼルフュスの3人で、ともに1950年代からデファンス地区全体の都市計画にも携わっていました。特徴的な曲面構造の屋根のエンジニアリングを担当したのはN・エスキヤン。エスキヤンはフランス各地にコンクリートの大規模橋梁を設計したエンジニアでした。クニットのガラスのカーテンウォールの構想に携わったのは、フランスを代表する工業デザイナーにして建築家であるJ・プルーヴェ。これだけ大規模かつ大胆な建築であるので、そうそうたる人物たちが設計に関与しています。

建物は基本的に正三角形になっていて、その各辺の上に長大なアーチがかけられて、薄いコンクリートの屋根を支持するという造りになっています。アーチのスパンは218m、屋根に覆われた空間の面積は22,500m2となっていて世界最大規模のコンクリート構造物となっています。実物を前にするとその有無を言わさぬ迫力に圧倒されます。

クニットは1989年の改築時に展示博覧会場としての役目を終え、ホテルや商業施設、オフィスなどを収めた複合施設となり、そうした用途は2000年代の改修後も概ね受け継がれます。

縦のマリオンが印象的な、かまぼこ型の突出部は2009年に完了した改修時に造られたもののようです。その改修の設計を担ったのは、J＝L・クロションとC・ブルルマンの2名が主宰する建築事務所でした。現在両者は独立して各々の事務所を構えています。

新しい入り口は派手で華やかな雰囲気。

上記改築や改修とは別に、1978年には建物周辺の地盤の嵩上げと、それに伴った改築も行われています。この嵩上げは地下鉄などの交通インフラ整備のために行われたのですが、そのせいでクニットの建築的ハイライトのひとつである3つのアーチの基壇部が見えにくくなって、構造美が損なわれるという結果となりました。なお、嵩上げ前の建物の様子は、下記レフェランスで4番目に挙げたロジェ＝ヴィオレ写真事務所のアーカイヴからご覧いただけます。竣工当初の華やかな空気をよく伝えている写真も多数あったりして、見ていて楽しかったです。