Rue de Savoie 52, Bruxelles (Saint-Gilles).
1908 : Paul Vizzavona : Art nouveau.
サヴォワ街52番地、ブリュッセル(サン=ジル地区)
1908年:ポール・ヴィッツァヴォーナ:アール・ヌーヴォー
ブリュッセルのサン=ジル地区の落ち着いた住宅街に建つ家。非常に上品で洗練された佇まいのアール・ヌーヴォー建築です。設計は、ローマ生まれでパリに移住し建築家としてはブリュッセルで活動をしたという、なんともコスモポリタンな経歴を持つ、ポール・ヴィッツァヴォーナ。彼はブリュッセル市内に他にも、やはり「上品で洗練された」という形容がふさわしいようなアール・ヌーヴォー様式の住宅をいくつも手がけています。
建物の土台部分は天然石で、水平の仕切り線から上の外装は、石を模した塗壁材が用いられているそうです。ということは、この上部の壁面素材はコンクリートだったりするのでしょうか。また、截石の線に見えるものはモルタルか何かで装われたものなのでしょうか。いずれにしても意外でおどろき。もっと近くに寄って仔細に観察してみればよかったです。
ヴィッツァヴォーナはヴィクトル・オルタの下で研鑽を積んだそうなのですが、この優美な造形の鉄柵や窓のラインなどに師の影響がよく現れているように思います。余談なのですが、ヴィッツァヴォーナの出生地はウィキペディアではローマ、オルセー美術館のデータベースではパリ、と異なっています。どちらが正しいのだろうと思ってよく調べてみると、彼が1901年にフランスで兵役に就いた際に登録された個人情報(参照リンクは下記に載せました)が閲覧可能となっていて、それによれば正しい生誕地はローマであるようです。興味本位でさらにその資料を見てみると彼は身長168cm、目や眉は栗色、鼻は小さめといった相貌で、1901年時点での居住地はパリ14区のオデッサ街であったようです。こういうふうに何気ない、しかし具体的な細かい情報を知るとヴィッツァヴォーナさんという人物が、100年以上のときを隔てて、急になんだか身近な人物に思われてくるようでなんとも言えない不思議な思いに捕われます。
Références
- « Rue de Savoie 52 », le site de la Région de Bruxelles-Capitale : inventaire du patrimoine architectural.
- « Registre matricules du recrutement (1887-1921) / cote : D4R1 1108 », le site des Archives de Paris.
Photos prises en août 2017.
2017年7月撮影



