旧パリ西劇場 : Ancien Théâtre de l'Ouest parisien

1 déc. 2025

Ancien Théâtre de l'Ouest parisien 旧パリ西劇場


60, rue de la Belle-Feuille, 92100, Boulogne-Billancourt, France.
Vers la fin des années 1950-1968 : Georges-Henri Pingusson : modernisme (style paquebot).
2008 : réouverture comme Carré Belle-Feuille, après le réaménagement.

ベル=フイユ街60番地、ブローニュ=ビヤンクール、フランス
1950年代末−1968:ジョルジュ=アンリ・パンギュソン:モダニズム(客船様式)
2008年:改修ののち、カレ・ベル=フイユ・ホールとして再営業

パリのとなり町、ブローニュ=ビヤンクールのほぼ真ん中らへんに位置する劇場・ホール。「パリ西劇場」という名のもとで1968年に開業しましたが、1998年に閉館。その後、劇場の改修や設計を専門とするセナルシ事務所による改築を経て2008年に「カレ・ベル=フイユ」という名の劇場として復活しました。

横長で大胆な配置構成を持つこの建築を設計したのはジョルジュ=アンリ・パンギュソン。パンギュソンはフランスにおける客船様式やインターナショナル様式の旗手のひとりで、1930年代にはロベール・マレ=ステヴァンスと協働してル・ブールジェ空港やパレ・ド・トーキョーの設計競技に参加したり、戦後はモゼール県の都市復興計画に参与したりパリの強制移送犠牲者追悼碑を設計したりした建築家です。

船の煙突を思わせる部分が屋根上にあったり舷窓のような丸窓があったり、横長で平滑な外観であったりと、客船様式の意匠が随所に用いられています。アール・デコ建築との親和性が高い客船様式ですが、この劇場ではむしろモダンなインターナショナル様式と融合しているように思われます。そう考えると客船様式はアール・デコ様式とインターナショナル様式を接続する、過渡期の媒介的様式として注目に値するもののようにも思われます。国をまたいで移動する輸送手段を模した建築意匠がそのまま、文字通りインターナショナルな様式の移入に寄与する格好となっているようでおもしろいです。

側面の、ガラス張りの階段室もこの建築の見どころのひとつ。とてもかっこいい。

ガラスの透明な壁の向こうに階段の連なりが見えるとどうしてこれほどわくわくするのだろう。

Références

Photos prises en septembre 2018.
2018年9月撮影