大阪芸術大学アートサイエンス学科棟 : Bâtiment de la faculté de l’Art-Science de l’Université des arts d’Osaka

21 mars 2022

Fac. de l'Art-Science de l'Univ. des arts d’Osaka 大阪芸大アートサイエンス学科棟


469, Higashiyama, Kanan-chō, District de Minamikawachi, Osaka.
2015-2018 : Kazuyo Sejima & Associates.

大阪府南河内郡河南町東山469
2015-2018年:妹島和世建築設計事務所

大阪芸術大学アートサイエンス学科棟

大阪芸術大学に新しくできたアートサイエンス学科の校舎。設計は妹島和世建築設計事務所で2018年竣工。この校舎は大阪芸大の敷地入ってすぐのところにあり、「これぞ芸大!」という前衛的な形状の建物が来校者を出迎える格好となっております。

コンクリートの造形性を極限まで追求したかのような、うねうね感。構造設計を担当したのは佐々木睦朗構造計画研究所。ものすごく複雑でアクロバティックな構造計算をしたのでは、と素人目には想像されたのですが意外と、柱、壁、ブレースといったごく普通の(?)要素が構造を担っているそうです。

なんとも捉えどころのない形状で自分の空間認知能力が狂ってしまうような不思議な建物なのですが、上から見て、スクールバスの大きさと比べたりするとその規模感が何となくつかめました。

ダイナミックにうねるコンクリート。厚みは40mmとのこと。施工は大成建設。よく造ったなあ、と感嘆しました。

建物の東側、西側には講義室や演習室、教員研究室などが配されています。

庇の形状に呼応するような外通路の舗装がうつくしい。

ガラス張りで開放感のある研究室。

建物を南北に貫く形で廊下が通っているのですが、その空間も冒険的ですごい。

数ある入口のうちの、ひとつ。

建物の内側は階段で、外側はスロープで同じ傾斜を上って(あるいは下って)ゆきます。

傾斜部分のガラスがすっきり納まっていて、すばらしい技術力。

スロープを上ってゆくといつの間にか上層部分に辿り着いています。さっきまで天井だった部分がいつの間にか床になっているという、新鮮な空間体験が味わえます。なお屋根=床部分はウレタンとFRPで防水処理がされていて、かつ、雨水が屋内に流れ込まないよう計算された傾斜になっているそうです。

地震時に水平力を受け持つブレース。

メインの入口。

覆いかぶさってくるかのような入口から中に入ると奥行きも高さもある広大な空間がぱっと開ける、その劇的変化が印象的でした。

上層部分からの眺め。天井の高い吹き抜けの大空間になっています。なお、わたくしは大阪芸術大学の卒業制作展(2月)の機会を利用して大学を訪れました。アートサイエンス学科棟も、同学科の生徒たちの多種多様で意欲的な作品を展示する場として利用されておりました。

階段部分にも作品が展示されていました。こういう展示の仕方はけっこう新しいのではないでしょうか。そんなことないのかな。

上層部分通路は、ある程度まで行くと柵が設けられていて通れないようになっていました。1周できるようにしなかったのは何か理由があるのかしら。

柱はランダムに配されているのかと思いきや、9mグリッドを基にして立てられているそうです。この9mグリッドというのは大阪芸術大学の他校舎の配置の基本単位になっており、アートサイエンス学科棟もそれに倣ったとのこと。

この円柱部分にはトイレや地下に降りる階段などが収まっています。

円柱部分のわき。行く手の、研究室の扉と壁がやたらとメタリックで印象的だったのですが、こちらは下記リンクに挙げた菊川工業による仕事。素材は特殊加工したアルミとのこと。開放的で有機的な形状の建物にあって、金属質の壁がよいアクセントになっていました。

円柱部分を回り込むと地下へ下りる階段があります。

地下の廊下は真っ白。地下には作品展示スペースや実験室が設けられています。

地下の展示スペース。外光を遮断できる地下という環境を生かした、作品展示になっていました。

地上と地下を結ぶ階段はミニマルなコンクリート。それにしても見所の多い建物でした。

Références

Autres travaux de Sejima Kazuyo & Associates : 妹島和世建築設計事務所の他の建築

Autres travaux de Kazuyo Sejima, à titre de SANAA : SANAA名義での妹島和世の作品

Photos prises en février 2022.
2022年2月撮影