ヘリオス : Helios

17 déc. 2023

Helios ヘリオス


Spui 15 et Voetboogstraat 1, Amsterdam.
1895-1897 (ou 1900?) : Gerrit van Arkel : Art nouveau.

スパウ広場15番地、フートボーフ通り1番地、アムステルダム
1895-1897年(または1900年?):ヘリット・ヴァン・アルケル:アール・ヌーヴォー

当ブログでも何度か登場している、アムステルダムでアール・ヌーヴォー様式の建築を数多く手がけたヘリット・ヴァン・アルケルの設計した建物。設計を依頼したのは、ドイツ出身で、ここの上層階にスタジオを構えた写真家のマックス・ビュッティンハウゼンという人でした。

「ビュッティンハウゼン、芸術写真」と書かれた帯状のうつくしいモザイク装飾が、1階上部の壁に今もそのまま残っています。

この建物の1階には今は海鮮料理屋が入っているのですがそこに至るまでの来歴がけっこう長いです。まず1900年にB・L・ヴォスカウルという美術商が画廊を構え、その後1909年にメゾン・レデブールという喫茶店兼軽食屋が入って(その際の改装もヴァン・アルケルが手がけています)、1923年にオランダ小売り大手の創業者アルバート・ハインが物件を買収しフォルモザという飲食店となり、その後1969年にはマダム・タッソー蝋人形館アムステルダム分館となり、1991年の同館の移転後様々な飲食店が入って、2014年から現在のお店になったそうです。この海鮮料理屋は2023年末の現在も営業中なようなので、順調に長続きしているのではないでしょうか。

塔屋やモザイク、石の浅浮彫など色々な装飾が凝っています。彫刻を手掛けたのはヴァン・デン・ボッシュ&クレベルスというアトリエ。なお、破風の下のモザイクには、この建物の名の由来となったひまわりが描かれています。

フートボーフ通りに面した側。こちらもモザイク、ステンドグラス、鉄と石とガラスの組み合わせなど、装飾がすてき。

フートボーフ通り側には、1900年から1906年まで「ツム・バルバロッサ」というビール倉庫がありました。それを示すモザイク壁画も現存。ちなみにその後、倉庫は非合法のカード賭博場になったこともありましたが、今はレストラン従業員のための空間になっています。

バルバロッサのモザイクから上を見上げると、階段室に沿って設けられた窓が連なっています。

その脇にあるオランダの牧歌的な風景を描いた壁画は、この建物の建設のために解体された昔の建物にあったものらしいです。色々な歴史、物語を担った建物だなあ、と、調べていて感慨深くなりました。

Références

Autres travaux de Gerrit van Arkel : ヘリット・ヴァン・アルケルの他の建築

Photos prises en août 2018.
2018年8月撮影