Quai François Mauriac, 75013 Paris.
1989-1995 : Dominique Perrault architecture.
フランソワ・モーリヤック河岸、パリ13区
1989‐1995年:ドミニク・ペロー建築設計
パリ13区、セーヌ河岸に面して建つ巨大な図書館。フランスの国立図書館はこれまでパリ2区にあったのですが、1980年代、パリを中心にフランソワ・ミッテラン大統領が押し進めた都市・建築の大規模整備事業の一環として、この新しい国立図書館が建設されました。そのため、新国立図書館は「フランソワ・ミッテラン図書館」と呼ばれることもあります。ちなみにこのブログでも取り上げている「新凱旋門」もアラブ世界研究所も、この大事業の成果です。
およそ65,300平方メートルという途方もない広さの敷地に、「く」の字型の建物が4棟建つという構成。図書館だけに、開いた書物の形を象徴してこの形状になったそうです。
建物は低層部が事務管理等に使われる空間となっていて、高層部に書庫が設けられています。
透き通るような、それでいて周囲の風景を反射して写し出すようなガラスに覆われているため、大きな建築であるのに圧迫感はあまりないように思われます。
建物下部は大きな空間が開けていて、樹木が生い茂る森になっています。この森を囲うような形で閲覧室が設けられています。何という大胆で独創的な発想なのだろう。244もの建築事務所が応募した設計競技から選ばれたのが当時まだ36歳だったドミニク・ペローの案だったのですが、選ばれるべくして選ばれたというか、まぎれもなく傑作だと思います。
コンコルド広場やシャン・ド・マルスなどパリのセーヌ川沿岸には視線の「抜け」が設けられた大空間がいくつかあるのですが、ペローもそうした過去の都市計画をなぞるような形で、新図書館も配置したそうです。空が大きく見える、このような空間構成もすてき。
新図書館はセーヌ河岸の丘のようになった場所に建てられたので、川に面した部分はかなりの高低差になっています。その高低差を埋める階段も、大規模でダイナミック。晴れた日は(あるいは曇りの日でも)よくここで人々がくつろいだり談話したりしています。
階段のふもとから見上げると、かなりの迫力。
入館者は、敷地南側の入口から入ります。
閲覧室は建物地下に当たるので入口も階段を下ったところにあります。入口付近の、ちょっとメカメカした感じは何となく80~90年代の空気を感じる気がします。
セーヌ川越しに図書館を望む。「パリはひとつの図書館の大閲覧室で、セーヌ川がそこを横切っている。」(W・ベンヤミン、「パリ、鏡の中の都市」)という言葉が思い出されます。
Références
- Éric Lapierre (et al.), Guide d’architecture Paris 1900-2008, Éditions du Pavillon de l’Arsenal, 2008, no. 1030.
- « Bibliothèque nationale de France », le site de Dominique Perrault architecture.
- « AD Classics: National Library of France / Dominique Perrault Architecture », le site ArchDaily.
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Photos prises en septembre 2023.
2023年9月撮影。