江戸東京博物館 : Musée d’Edo-Tokyo

9 avr. 2025

Musée d’Edo-Tokyo 江戸東京博物館


1-4-1, Yokoami, Sumida-ku, Tokyo.
1987-1993 : Kiyonori Kikutake architects.
2022-2025 : rénovation totale.

東京都墨田区横網1-4-1
1987-1993年:菊竹清訓建築設計事務所
2022-2025 : 全面改修

鬼才、菊竹清訓による規格外の博物館建築。とにかくでかい、という予備知識は十分にあったはずなのですが実物を前にして完全に圧倒されました。なんというか、これはまいりました、といった感じでした。

ピロティの土台部分である3階部分の高さがJR両国駅のホームの高さと揃っているため、駅から建物の全貌がよく眺められます。駅と3階部分の広場の高さが揃っているのは、駅の出入り口のひとつをそこに設けて通行の利便性を高めようとした菊竹氏の意図があったためだとか。

江戸東京博前交差点からの眺め。建物の高さは62.2m。これは江戸城の天守閣の高さに合わせたもので、江戸城の規模を感じられるようにする理由があったそうです。超巨大建造物でありながら、前述の駅ホームの高さとの一致など色々細かな、でもダイナミックな配慮が見られます。

北斎通りからの遠景。こうして見るとけっこう街並みに溶け込んでいる・・・とは言いがたい。

近くから見上げると、より一層の迫力。まさに頭上から迫ってくるように見えます。ところで、手前の建物(管理事務所?)の入口庇が波打っていてかわいい。

建物への数あるアプローチのうちのひとつ。階段を上って、上空の建物に吸い込まれてゆくかのような劇的な動線になっています。

建物北側では、土台である1階2階部分が眺められます。コンクリートの造形が非常にかっこいい。

こちらの大階段も非常にすてきです。

ピロティの土台、3階部分は広大な広場になっています。

建物真正面に立つと、一点透視図法式の壮大な光景が広がります。その中央に佇んでいるのはわたくしの身内のひと。人物の大きさと比較するとより一層、この建物の異様な規模が実感できます。

建物手前の、くらげみたいな形状の休憩所がかわいい。

くらげ休憩所(勝手に命名)は広場の別の場所にも群生しています。やはりかわいい。

くらげ内。

夜になると、ぼうっと光るくらげ。いちじるしくかわいい。

休憩所はこの他にもあります。

こちらの休憩所はコンクリートとガラスとでシャープな印象。なんというデザインの引き出しの多さだろう。

3階広場でなんといっても目を惹くのは、この近未来的な赤いエスカレーター。博物館に入る前にすでに見所が多すぎて、すでに体力がけずられてしまってます。菊竹建築のエネルギーはとてつもないです。

エスカレーターわきのエレベーターからでも館内に行けるみたいですが、ここはやはりエスカレーターで。

パリのポンピドゥ・センターの屋外エスカレーターを想起させる、たのしい空間移動体験。

博物館内に入るとまず橋が待ち受けていて、びっくり。屋内に入ったはずなのにまた外の空間に出てしまったかのような印象。

これは原寸大で復元された、江戸時代の日本橋なのだそう。よく造ったなあと感心します。

橋から見下ろすのは、やはり原寸大で復元された歌舞伎場、中村座。博物館内では、こうした江戸時代の風物だけでなく明治以降から昭和の時代に至るまでの東京の、民俗学、地理学、都市研究、文化研究に関するあらゆる資料が展示されています。街や建築の模型、江戸商人たちが使った道具、都市制度の説明書きや、実際に乗れる昔の自転車の展示などなど、どれもこれもが面白くて気付いたら閉館時間になってしまっていました。

これだけの規模と量の資料を収蔵・展示するとなると、建物が並外れた大きさになるのもうなずけます。なお、この展示空間をガラス張りにして自然光を取り入れるという案も菊竹氏は構想していたのだとか。常人離れしたその発想力に脱帽。

垂木を受ける力強い柱など、建物内部の建築的要素もまた見所、なのですが展示が興味深すぎてそこまで気が回りませんでした。

展示を見終わって1階に降りてから退出。

外に出るともうすっかり日が暮れていました。1階部分のエスカレーターが光っていてこちらもかっこいい。なお2025年4月現在、江戸東京博物館は全面改修により休館中です。建築が規格外であるなら修繕もまた途方もないプロジェクトであるようで、その模様は下記の大成建設のサイトからご覧いただけます。修繕もまた、頭の下がる思いのする大仕事です。

Références

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Photos prises en février 2022.
2022年2月撮影