旧パン工房スタール : Ancienne boulangerie Stähle

28 juil. 2025


Spuistraat 274, Amsterdam.
1898 : Gerrit van Arkel : Art nouveau.

スパウ通り274番地、アムステルダム
1898年:ヘリット・ヴァン・アルケル:アール・ヌーヴォー

アムステルダム中心部にある、1階にパン屋さんが入った建物。施主はフリードリヒ・コンラッド・スタール(1868-1959)で、父親がこの界隈で創業したパン屋を受け継ぎ、1898年に新しい工房・店舗・住居としてこの建物の設計を注文しました。スタールはオランダのパン業界でかなりの大物だったようで、のちにオランダのパン連合会やパン製粉連盟の会長を歴任したようです。

この建物の設計を受け持ったのは、アムステルダムのユーゲントシュティル(アール・ヌーヴォー)建築の代表的人物のひとり、ヘリット・ヴァン・アルケル。スタールのパン屋さんの建築においても、その独創的な意匠の手腕がいかんなく発揮されています。

敷地自体は台形で角ばっているのですが、建物の外観はとにかく丸みを帯びた形状が目につきます。

建物北側、ラーム小路に面した部分は割と平滑な外観。壁面に埋め込まれているのはこの場所に以前(1748年)あった建物の壁の一部だそうです。書かれている碑文を意訳すると大体以下のとおりです。「困難なる時代に企てられし建物/平らかなる時代に完成せり/我が希望、神の御許に置きつれば/御身に寄せる、我がまったき期待」

ヘリット・ヴァン・アルケルの署名も凝っています。

スタールのお店ではないのですが、建物1階にはいまもパン屋さんが入っています。準備中だったので外からガラス越しに一枚。パン工房の生業を描いたすてきなタイルは、陶工のローゼンブルフの作品だそうです。

Références

Autres travaux de Gerrit van Arkel : ヘリット・ヴァン・アルケルの他の建築

Photos prises en août 2018.
2018年8月撮影